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1ビットをわずか12個の原子で記録:「世界最小の磁気記憶素子」
米IBM社の研究者らが、1ビット分のデータをわずか12個の原子に記録できる技術を開発した。一般的な記憶装置の場合1ビットにつき原子が80万個は必要であり、12個の原子から記録装置を作成すれば現在のディスクよりはるかに小さなサイズになる。画像と動画で紹介。
12個の原子が8セット並んでいる。他のでっぱりは関係のないキセノンの原子。Image: IBM
米IBM社は1月12日(米国時間)、12個の原子の表面に1ビット分のデータを記録する技術を開発したと発表した。世界最小の磁気記憶装置を作ることが可能になる技術だ。
物理学者はこれまで、磁気記憶素子をどこまで小さくすると量子力学の法則が優勢になり、データを確実に記録することができなくなるかについてはっきりわかっていなかった。例えば、並べる原子の数を8個にした場合、安定的な磁性状態を保つことがまったくできなくなると、今回の発見に関わったIBM社の研究者アンドレアス・ハインリッヒは説明する。
「そのようなシステムでは、あるひとつの状態から別の状態への変化が、データ記憶装置とは言えないほど短い間に、そしてまったく自然発生的に、次々と発生する。変化の回数は1秒あたり1000回に達するかも しれない」
もう1つの問題は、隣接するデータのビットが互いに干渉しないようにする方法だ。現在のハードディスクは、強磁性構造として知られる構造にデータを記録している。その原理は、方位磁針や冷蔵庫用マグネットと同じで、大量の原子がすべて同じ磁場方向を向く形で存在している。
だが、IBM社が開発した12個の原子から成るデータ記録装置は反強磁性構造を採用しており、隣接する原子が互いに反対の方向に向いている。これは原子が互いに干渉しないようにするためであり、一度にわずか12個の原子でデータを記録するには重要な特性となる。
「強磁性体では、原子が一緒になって大きなスピンが発生し、その大きなスピンが隣の大きなスピンと相互に作用する。その結果、原子を個々に制御することができ� �くなる。反強磁性では大きなスピンは発生しないので、原子を密接させることができる」とハインリッヒ氏は説明する。
2012年1月13日
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